２００５年に注目を集めた病名がメタボリックシンドローム(メタボリック症候群）。肥満に加えて血圧や血糖値がやや高めの状態のことで、脳卒中や心筋梗塞の危険が大きく増える。痛風の原因となる高尿酸血症も、実はメタボリック症候群の一環です。
日本肥満学会など八学会は０５年４月、メタボリック症候群の診断基準を公表しました。
ウエストのサイズが男性８５センチ以上、女性９０センチ以上が第一条件。
さらに｢血圧｣｢血糖値」｢中性脂肪かＨＤＬコレステロール｣の三項目のうち二つ以上が高め（ＨＤＬコレステロールは低め)の場合が核当します。
日本肥満学会理事長の松沢佑次・住友病院院長は｢ウエストのサイズを重視する理由は、内臓脂肪の蓄積の指標となるから｣と説明します。
カロリーの取りすぎ、運動不足によっておなかの内側、内臓のまわりにたまった内臓脂肪は、血中の糖や脂肪の代謝(メタボリック)を調節する「アディポネクチン｣という物質の分泌を抑える作用をする。
皮下脂肪はこうした作用がないので無害だが、内臓脂肪が増えると代謝がうまくいかなくなり、糖尿病や高脂血症、動脈硬化を引き起こします。
しかも糖や血圧など個別の数字が明らかに病気といえるほど高くなくても二つ、三つと重なっていくと脳卒中や心筋梗塞の発症率が数倍から数十倍に急増する。この危険な状態がメタボリック症候群の実態です。
大阪府立成人病センター臨床科の中島弘部長は｢内臓脂肪の蓄積、アディポネクチンの分泌減少は尿酸の代謝にも影響し、高尿酸血症の引き金になる。つまり尿酸値もメタボリック症候群の指標になる｣と話します。
血中の尿酸値が７･０を超えると高尿酸血症。従来は、尿酸値が高くても痛風の激しい痛みの発作がないと本人も医師も軽視し、痛風になってから薬で尿酸値を下げる治療が多かったという。
中島部長は｢約６００万人と推定される高尿酸血症の多くは生活習慣病が原因。まず食生活と運動不足を改善して尿酸値を下げることを目標にしてほしい｣といいます。
また、ウエストのサイズがメタボリック症候群の診断基準より小さくても、内臓脂肪が多いと尿酸値が高くなってくることがある。中島部長は｢定期的な健康診断で尿酸値が上がってくれば、メタボリック症候群に先行する注意信号と考えられる｣とアドバイスします。
診断基準の作成委員長を務めた松沢院長は｢血糖、血圧、尿酸など個別の数値だけを意識し、薬で下げるのは川の下流で洪水を止めようとする対症療法。最も重要なのは、上流にある根本原因の内臓脂肪を減らすことだ｣と指摘します。
「そのために生活習慣を改善することを患者が意識し、その効果をウエストサイズなどの変化で実感できるよう、分かりやすいメタボリック症候群の診断基準を提唱したい｣と話しています。
ウエストサイズ 男性 ８５ｃｍ以上、 女性 ９０ｃｍ以上
さらに ①中性脂肪（ＴＧ）が１５０ｍｇ/ｄｌ以上または
ＨＤＬコレステロールが４０ｍｇ/ｄｌ以下
②最高血圧が１３０以上または
最低血圧が８５以上
③空腹時の血糖値が１１０以上
３項目のうち２つ以上が当てはまる
メタボリック症候群① メタボリック症候群③ メタボリック症候群④ メタボリック症候群⑤
Q & A 参考著書 製造工程 法律表記 ＳＲ５６０ ショッピング
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